夢幻泡影な日々

内向的で偏屈でガノタな一般人、えすえふ。の生活や趣味や思うところを徒然なるままに書きとめる場所。

シティーハンター新宿PRIVATE EYES 感想

シティーハンター熱再来!

バレンタインなどどこ吹く風か、TOHOシネマズデーで安かったこともあり楽しみにしていたシティーハンター新宿PRIVATE EYESを観てきました。

 

正直に言って、ケチをつける部分が見当たりません。この映画、かなりクオリティが高いです。以下、ネタバレ感想を書きたいと思いますので未視聴の方はご注意くださいませ。

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パンフレット表紙。*1

 

シティーハンター復活

 シティーハンターは、言わずと知れた「腕利きのスイーパー冴羽獠」が新宿を舞台に依頼人の依頼をこなすハードボイルド・クライムアクションと、適度な下ネタ過激ネタを爆発させてヒットした作品です。
 自分はシティーハンターはアニメ版を通してみた勢であり、週刊少年ジャンプに連載された漫画版には触れていないのですが、シティーハンターの「あの頃」の雰囲気にずっと憧れてきていたので、今作の予告時点では、相も変わらず不安でした。

 シティーハンターのアニメが放映されていた1987年あたりの20代後半に比べて、現代の20代後半は格段に若くなりました。美のブームの違いのみならず、日本人は全体的に皆幼くなったように感じます。個人的には、あの頃の若者と比べると現代の若者は当時の高校生か、下手したら中学生のように感じてしまうのです。

 それを反映したのか、今回のメインポスターを見ると獠と香も少々若返っているように見えました。個人的にはこれを見たときに復活の喜びの中に一点「キャラクター弄ってないよな……?」という不安をどうしても感じてしまったのです。
 ですが、結論から申し上げますと、それは完全に杞憂でしたこれも毎度のことですが

 現代的にアップグレードされ、新宿駅掲示板などもはや存在しない新宿の街に、相も変わらず女の子に鼻の下を伸ばし、颯爽とあの頃の香りをまとって活き活きと動き回る冴羽獠や、獠にヤキモキしながらハンマーで鉄拳制裁を食らわせる香。相変わらずお人好しな海坊主と美樹。

 おもえば、キャラ立ちでいうと最強も最強なシティーハンターレギュラーのメンツが揃って、時代の流れごときにやられるわけがなかった。

 紛れもない、あの頃の新宿が形を変えてそこにはありました。*2

 

・帰ってきた現代版「新宿」

 先にも述べましたが、今作は現代化に見事に成功しているといえるでしょう。シティーハンターといえば、新宿駅掲示板にXYZがお決まりです。
 ですが、どの駅にももはや伝言掲示板などは無い……。新宿駅ももちろんそうです。ですが、そこはAR(拡張現実)システムによる依頼方法にきちんと移行している。
 どうやってその技術を構築したんだ!なんていうのは野暮な一言。*3

 考えてみれば、「悪目立ちしない方法で、噂に流しやすく、依頼人の風体を確認しやすい」という裏社会の依頼への条件をきちんと満たしているんですよね。
 伝言掲示板は当事ではありふれたアイテム。同様に、現在ではスマホを凝視する行為はありきたりで何ら不自然ではない。特定の場所でスマホのARビジョンアプリを起動すればシティーハンターに依頼できる……。ネット掲示板などに流れていても与太話として流せる範囲で、XYZな(もう後が無い)奴しかそこには現れない。そして本人確認して美女なら今回のように声をかけると。

 そして、とても重要な依頼方法の変更がなされていながら、ARビジョン的にはそこにはない伝言掲示板が現れてXYZと、大事なところは変わってないよという憎い演出が。

 もうね、控えめに言ってこういう細かい描写が素晴らしいんですよ。

 東京という日増しにビルが生え「生まれ変わりを続ける街」を描くにあたって、こういった細かな描写の積み重ねで、あの頃の新宿の雰囲気を表現する。

 これは何気にとても凄い事なのだと思います。*4

 

・キャラクターみんな綺麗でしたね

 ウエディングドレスの香、めっちゃくそ綺麗でしたね!ファンからすればエンジェルハートに対する贖罪があーだこーだという細かい話が出がちな気もしますが、このファンサービスは、「分かっている」んですよねぇ。
 香のみならず、今作ヒロインである亜衣も綺麗でしたねぇ。酔っぱい→ベッドで狼狽という一連のシーンはとても可愛かったです。*5

 美樹さんも今回あんまり見かけない土下座からのコメディ顔をしていて活き活きしてましたねぇ。グレネードランチャーをぶっぱなしながらコマンドーしちゃうのはさすが海坊主の相棒だよなといったところでしょうか。

 そして、ゲスト枠のキャッツアイ組!
 自分はキャッツアイ世代ではないので*6あんまり親しみが無いのですが、現代によみがえったキャッツアイ、エッッモイ!

 レオタードの破壊力ヤバいっすね。すげぇ。もっこりぃ(OPED後のねっとりした謎もっこりボイスで)。

 それはそれとしてゲストキャラクターの扱い方も上手でした。キャッツアイは北条ヒーローズの中でも大ヒット作品でキャラも良いですし、扱い方を間違えると完全に作品を喰いかねない、いわゆる”レジェンド”なわけです。
今作では、
・海坊主に喫茶キャッツアイを貸している
・相変わらず大暴れするだけの現役バリバリ
・まさかのセスナからの空挺降下
ヘリポートの敵をオールダウン
・各国の武器商人をボコボコに。
という大活躍をしながらもあえて一番大きな武器商人とのバトル描写を省くことによって、獠ちゃんの活躍を喰わないように配慮しつつも多大な印象を視聴者に与えるという素晴らしい客演だったと思います。このクオリティでTVシリーズに戻ってきてほしいですねぇ。*7

 

・相変わらずこだわりの銃器と車とアルコール

 シティーハンターといえば、小物類の描写が細かいことで有名です。
たとえば、お酒の描写がなかなか丁寧に作られているのが有名で、海坊主がワイルドターキーを瓶飲み(!)していたりしています。
 今作も中々イイ感じでしたね。一回見た感じでは、サントリープレミアムモルツ(ビール)やホワイトホース(ウイスキー)などがありましたかね。スナックの中でもっといろんな瓶が出てたかな。夜の街のリアリティが出ていて素晴らしいですね。最近はいろんな規制でアルコール描写が減っている感があるので、それに真っ向から立ち向かうのはイイですね!

 銃器に関しても、各キャラクターに対して適切な銃器が割り振られており、獠がショットガンのバレルを切るシーンがあるなど、銃器素人の自分から見てもこだわっているのが分かります。

 そして、シティーハンターのトレードマークといえばやっぱり赤いミニクーパー。冒頭からすさまじいドラテク*8を披露し、各所で象徴的に配置されるこの車はシティーハンターに無くてはならないものですね。

 小物にこだわるという点でも今作は完璧だったんじゃないですかね。

・ 冴羽獠という男の格好良さ

 これまで色々と徒然に描いてきましたが、やっぱり特筆すべきは、冴羽獠です。

香に時代を考えろといわれながらも、お構いなく覗き*9やセクハラの数々。ショーパブではノリノリでアキラ100%をして(しかも失敗)お酒をあおり、ランニングについてきたと思ったら神社であった女の子全員に声をかける。

 どーしょうもないスケベお兄ちゃんでありながら、滅茶苦茶強く、特殊部隊に対して特に苦戦することもなく次々とのして行き、最新ドローンに対しても鋼鉄の超人化のような無双を繰り広げる。

 そうでありながら、時折見せるガチ顔でのやさしい言葉。

            惚れてまうやろぉぉォォォォ!!!!!!

  いや、とっくの昔にみんな惚れているのである。冴羽獠という男に惚れないやつなんていないんじゃないのか、そう思えるほどに獠ちゃんは老若男女問わず心をがっちりつかんで離さない。

 今作では、獠ちゃんの一挙手一投足に、もうあの頃の匂いと勢いがフルパワーで襲い掛かってくる。お母さんお父さん世代に連れてこられた現代の若い子とかの心もきっとがっちりつかんだんじゃ無いだろうか……。

 そして、そんなイケメンの癖に、香に対して素直になれないあたりがもう、もうっ……!

 尊い……。

 ウエディングドレスの写真を見て「別に。いつもと同じじゃん。」ってこの不器用な返しが!

 「綺麗だ、しかしウエディングドレスなど着なくてもいつも綺麗だぜ」と言えない、そんないじらしさ。普段あんなに格好いいのに!

 香に対してだけは特別な獠ちゃんに、相変わらず撃ち抜かれていますという話でした。

 

・OP、ED、劇伴のすばらしさ

 今作はOPのスタート時点からEDの最後の最後まで注力されていました。

 OPのカウボーイビバップか!?と言わんばかりのスタイリッシュさ。かと思えばそのイケてるOPが終わったとたんに低い声で「もっこりぃ(エコー)」。めっちゃくそ格好いい(本記事何度目だろう)。

 そして随所で流れる歴代OP・ED・劇中歌たち。そのどれもが神曲で、OPからPSY・SのANGEL NIGHTという。テンション最高なスタートです。

 亜衣がモデルとして写真を撮るシーンで岡村靖幸のスーパーガールが流れていたりともう最高ですね。

 劇中終盤で北代桃子のFOOT STEPSが流れたら、ああ、もう無双だ!敵は終わったな、とTVシリーズと同じ楽しみ方ができるという。

 音楽の使い方が上手です。

 そしてラストは止めて、引くの演出でGET WILD。あぁ、これぞシティーハンターだ!と否が応でもわからせてきます。

 そしてEDクレジット中。

 よく映画コンテンツではクレジット中に退席する奴がいてもったいないという話を聞きますが、このEDは帰れません。シティーハンター本編の重要なエピソードのキモとなる部分があれ、新規作画ですよね!記憶がフラッシュバックしてゆく感じ。

 最後は掲示板復活からの依頼シーンで「復活」をにおわせる……。

 これ、完璧だ……!

 

・結論

 今作は、見ていないなら絶対に行くべきと心から言える作品でした。

 端的に言えば「お前らシティーハンターのこういうとこ好きだよな!喰らえッ!」とエモいシーンを怒涛に繰り出されてファンの琴線に触れてくる。娯楽作品としてかなり高いレベルでまとまっており、単体ですっきり楽しめる上に、当時のアニメを知っていれば、あれがそのまま現代によみがえったという感動を味わうことができます。

 パンフレットにはPの言葉として「劇場版の次回作とかTVシリーズの復活とか」を匂わせるセリフがありました。

 おそらくは、リップサービスでしょう。しかし、買い支えるしか選択肢はありませんねこれは。*10

 円盤が出たら限定版で買ってやんよ!といえる素晴らしい作品でした。

いやぁ、100点満点中1億点といえる獠ちゃんやキャッツアイのカムバックでした。

 

 

*1:獠ちゃんが今回もカッコいいんだよなぁ~。

*2:こんなことを言ってますが、私自身はアニメ放映後生まれなので当然あの頃の新宿なんざぁ知りません。ですが、母さんが好きで小さいころからシティーハンターのアニメに親しんだ身としては非常に懐かしい空気間のようなものを感じました。

*3:というかいくらでもシステム構築するキャラがいますよね。今回登場した教授が有力かな。

*4:もちろん、劇中では変わらない場所もたくさん出てきましたね。新宿ゴールデン街のシーンではおなじみのオカマバーの姐ちゃん?が出てきてて嬉しかったなぁ。何気に好きなんですよね、あの人。

*5:同時に安堵から泣いてしまうという、当然の描写がされたのはいいですね。そりゃ会ってそこそこ男の人と飲みに行って意識失って自宅以外のベッドで起きたら怖いよ……。

*6:もちろんシティーハンター世代でもないゾ☆

*7:うちの母様は、海ちゃんにキャッツアイを託した後、つまり、キャッツアイ本編後のエピソードをよこせと所望しております。確かに見たい。

*8:今回、香が凄いドラテクを披露していますね。格好いい。

*9:しかもドローンをつかって現代的にやるあたり獠ちゃんの本気さがうかがえる。 窃視症ですぜ兄貴……。

*10:単にこの作品を家でがっつりじっくり見たいという欲望があるだけでもある。映画は素晴らしいのに今回観客のマナーが悪くて、隣の人はGET WILD口ずさんでるし(気持ちは分かるが……。)途中でスマホを見てる人のせいで明かりが気になってしまったりしたので……。