夢幻泡影な日々

内向的で偏屈でガノタな一般人、えすえふ。の生活や趣味や思うところを徒然なるままに書きとめる場所。

仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER 感想

明けましておめでとうございます。

先月から何かと忙しく、年末年始の忙しさが身に染みているさいえんすふぃくしょん。です。

本日は、先月の終わりに見た仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVERの感想を書いていきたいと思います。

(本記事には仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVERのネタバレを多分に含みます。未視聴の方はご注意ください。)

 

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ガチャ版のWライドウォッチ。
何気なく回したガチャで、映画見るまではフツーにいちレジェンドアイテムだと思っていましたが、劇中で印象的なアイテムとなり、一気にお気に入り度が上がりました。

 

 まず、本作の大雑把な感想ですが、正直今まで見た仮面ライダー映画の中ではかなり上位に入る作品であると思います。、「平成ライダーを愛してくれたあなたへ」と宣伝で語られる通り、興奮するシーンや不覚に目頭が熱くなったシーンが多く、平成仮面ライダーとともに歩んできたクウガ世代の私の心にはクリティカルヒットしました。
 以下に感じたことをまとめて書いていきます。

  • シナリオのまとまりが良い
     仮面ライダー映画は、メインターゲットが幼児~小学生くらいなので、画面映えやストーリーの勢いに重点が置かれているのか、シナリオがやや破綻してしまっていることが多い*1のですが、本作は目立つ矛盾点などはそれほどなかったかのように思います。
     少し気になる矛盾点としては、①ソウゴが仮面ライダーがフィクションの世界(以下TV世界)からWライドウォッチを持ち帰っていること、②TV世界においてフィクションの存在であるはずのイマジン”フータロス”の存在くらいでしょうか。
     まず、①について。TV世界は、ディードによる過去改変によって歴史が歪んだ(世界線が変動した)世界であると仮定します。TV世界≒ジオウ世界(差異は世界線の揺らぎとする)であるので、「夢から覚めたのに夢の中で得たウォッチを持っていた」のではなく、「歴史の修正力が働いた」ととらえれば、ソウゴがWウォッチを得たままジオウ世界に戻ることも可能でしょう。もっとも、ソウゴは中盤敗北して(ウォズアラームで)ジオウ世界に復帰しているので、そこはややご都合主義ですが、TV本編と同じように世界線の修正力のようなもの*2がうまく働いたと考えれば、なんとか説明がつきそうです。

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     次に②について。①と同様にTV世界≒ジオウ世界であるならば、歴史の修正力の揺らぎ論でなんとか片付けることもできます。また、劇中で電王メンバーから、「覚えていてくれる人がいるならば、世界として存在しうる」というようなセリフが語られたので、アタルのシンゴ失踪に起因する強い想いに呼応して、フータロスが電王世界からTV世界へ移動した可能性もあります。そもそも、電王自体は”特異点(過去改変の影響を受けない)”であるため、電王の世界自体は別で存在していて、そこからフータロスが何らかの理由でTV世界に移動したと考えるとフータロスがTV世界に存在している理由が説明できそうです。
     なんにせよ、「全く説明がつかないままノリと勢いで進む」ということになっていないだけ、個人的にはまだ理解のしやすいまとまったストーリーであると感じました。

  • キャラクターの動かし方は流石
     ビルド勢は、戦兎に序盤にソウゴを導く役割および、先輩としての役割を担わせるという点から、万丈をメインコメディリリーフ、その他登場人物をコミカルに描写し重くなりがちな話に清涼感を持たせつつ、「仮面ライダービルド」の色を損なわないように描写しているのは流石だと思います。
     ジオウ勢は、まさかの展開を用意し、冒頭からソウゴはじめゲイツツクヨミの性格が違うという変化球を投げつつも、「ソウゴは王様の夢が無ければ器用に勉強する」「ゲイツは猛勉強・猪突猛進・真面目ちゃん」「ツクヨミは、やっぱりどこか抜けたビューティー*3と、いかにもこのキャラはこんな隠れた一面がありそうという説得力がある味付けで、これからも続くジオウのキャラクターの掘り下げを上手に行っていました。
     そして、ほぼメインであるといっても過言でない電王勢は、イマジンによるいつもの漫才は良いとして、佐藤健野上良太郎を登場させるというサプライズで、存在感抜群。役者イメージなのか、衣装の都合なのかウラタロス憑依状態で格好良く立ち回る姿は、若手登竜門を駆け上った佐藤健と重なって、もう目頭が……。
     とにかく、キャラクターの動かし方は流石の一言でした。

  • 兄弟の絆と子供の頃の自分とのリンク
     本作は、オリジナルキャラクターであるシンゴとアタルがストーリーのメイン軸です。この二人のキャラクターのセリフ回しや、劇中小道具から、映画を見ている「これまで平成仮面ライダーを観てきた子供時代の視聴者」とリンクさせる意図が見て取れました。
     私は、本来子役の演技等が少し苦手で*4、またそういう意図に気付くとあまり乗り切れないほうなのですが、今回は違いました。
     「クウガ」を楽しみに見ていた幼少期(そして植え付けられたトラウマ*5の数々)、弟とおもちゃを取り合いつつもなんだかんだで「卒業」が遅れて、二人してTVの前で見た思い出、(そしてエエ歳して未だに仮面ライダーを観ていること)……なんだかんだ言いつつずっと仮面ライダーを観て育ってきているので、涙腺にダイレクトアタックです。
     シンゴが「クウガ、すっごく楽しみなんだ」と言うと、クウガが始まる前の「仮面ライダーってのが始まるのかぁ!」とワクワクした幼少期の記憶がリフレイン。スタッフロールの仲の良い兄弟を見て涙腺が……。
     平成仮面ライダーから特撮ファンに入っただけあって、この演出には感動してしまいました。

  • フータロスすき……(語彙力)
     悪役面で、悪役声のくせして、律儀にお願い事を叶え(しかも叶えるだけの力があり)、過去に飛んだと思えばアタルを救うのが目的で、何から何まで良い人だったフータロス。え、なに、これ……すき……。(語彙力)
     フータロスは、映画での描写が少ないことでTV世界に来る経緯や、なぜシンゴをそこまでして助けようとしたのかなど、謎が多いです。
     しかし、キャラクター付けが非常にうまく、私などは心をがっつり掴まれてしまいました。フータロスのVシネマ(経緯やその後。)というか、ぶっちゃけてしまうとフータロス加えて超電王また作ってほしいなぁ的な。そういう感情でいっぱいです。フィギュア化、お待ちしております。

  • シナリオの意図が推測出来てすこしニヤリ
     本作は「現行ライダーであり、平成最終ライダーであるジオウが、ビルド(直近の先輩)や電王(偉大なレジェンド)に導かれ、平成ライダーの力を結集し、アナザークウガという巨大な敵を倒す」作品でした。
     これは、クウガという平成仮面ライダー*6第一作でありながら高い完成度を誇り、まさしく「A NEW HERO. A NEW LEGEND」となった「偉大な壁」を、人気低迷期の中で生まれた爆発的ヒット作「電王」が導きながら、新人であるビルドやジオウがその壁を打ち壊し、さらなるステップへ進むのだ、というスローガン的映画であったとみることができます。
     平成最後のジオウは、この壁を乗り越えてゆくのか。次の元号のライダーたちは、どうなってゆくのか。楽しみはつきることがありません。

  • 劇場にて
     やはり客席にはお子様連れが多く、映画中の反応など微笑ましい一面を見ることができたのですが、その中で面白かったのは、以下のやり取り。
    (序盤)
    子供「せんと!ジオウ!」
    母親「シーっ!静かに。」
    (良太郎登場)
    子供「だれ?ねぇ、だれ?」
    母親「(号泣)…電王の人やで。」
     そうか、電王は2007年スタートだから、もう、12年も前なのか……。そりゃあ子供からしたら誰?だよなぁ……。と思いながらも、お母さんが若いころ、TVで電王をみてたのだと思うと、電王の偉大さが伝わってくる*7気がして非常に興味深いやり取りでした。

 

 

 以上が私の平成ジェネレーションズFOREVERの感想です。
 これは、かなりいい線言ってると思います。今度は弟と一緒に観に行きたいなぁ。
Blu-ray出たらきっと買ってしまうと思います。
 平成仮面ライダーに親しんだことが少しでもあるのなら、観に行って損のないいい映画だと思いました。おススメです!

*1:ストーリーにあまり影響のないサッカーがはじまる作品とか、ストーリーに影響の少ない敵幹部のラブロマンスに尺を大幅に使ったりする作品とか……。

*2:ジオウ本編でも過去改変の際にやや都合の良いタイミングでの現代への修正が行われる描写もあるので、そのへんはうまく働きそう。

*3:ツクヨミポンコツ疑惑にまた一つ証拠が……。過去改変のどの辺があのポンコツクヨミにつながったのか気になるところです。

*4:子役の子は悪くないのです。ですがどうしても泣く演技とかから苦手イメージがついてしまっていて。子供自体は好きなんですけどね……。本作は割と大丈夫でした。

*5:クウガで印象に残っているのは「プールでのゲゲル」と「振り向くな!」とジャラジの中学生男子の脳に破片を入れるやつ。クウガ以外では、龍騎冒頭の試着室のくだりがトラウマかなぁ。ぶっ飛んでたし怖かったけどなんだかんだライダーはほぼ毎週観てたと思います。

*6:野暮ですが、もちろんくくりとしての平成仮面ライダーであってBLACK達は平成ではないのかなどのお話は別です。

*7:電王のころ、既に高校生くらいでしたが、鉄仮面の二つ名を持つ全く笑わない女性教師が電王のファンで下敷きから何から電王だったので、当時の電王任期はすさまじいものだったのだと思います。