【感想】仮面ライダージオウ Over Quartzer & 騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!
7月後半台風が上陸したと思ったら途端に猛暑と、「いろいろ勘弁してください令和ちゃん……。」とげんなりしているさいえんすふぃくしょん。です。あっつい(´;ω;`)
本日は、仮面ライダージオウと騎士竜戦隊リュウソウジャーの夏映画を観てきましたので、その感想をネタバレありで書いていきます。
この映画、いろいろと思うところがありありなので、ちょっとマイナスなことも書いてしまうかと思います。
また、私はどちらかというと仮面ライダーメインで映画を観に行きましたので、リュウソウジャーよりもジオウについて分厚く書くと思います。
ネタバレとその他もろもろ大丈夫な方、よろしくお願いします!
以下ネタバレありです。ご注意ください。
- 騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!の感想
- 仮面ライダージオウ Over Quartzerの感想
- 気になる点
- 良いと思う点
- 仮面ノリダーの登場
- 仮面ライダーGも忘れていない
- ウォズの冒頭あいさつからメタフィクション次元へつなげるうまさ
- ウォズの心中が明確に描かれていること
- アクションシーン全般特にバールクスのアクションシーン。
- ソウゴの決意のシーン
- まとめ
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騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!の感想
一言で言ってしまうと、「尺が足りない。」これに尽きる映画でした。
ストーリーの流れは、悪くありません。
一般的なタイムスリップものを子供でも分かるようにやさしくかみ砕いていた点に対してはとても好感が持てます。ただ、冒頭で恐竜博物館から突然少女が復活して、流れるように過去へ、さらにちょいと過去の説明をして現代へ、ロボ戦してまた過去へ、と過去と現代を安易に行ったり来たりしてしまったために駆け足感を強く感じました。
また、過去でガイソーグがリュウソウ族の先祖により開発された経緯は冒頭のドルイドンの一瞬映るシーンで済まされていること、キシリュウジンは特に物語に深く絡まずあくまでキシリュウオーのかわりに過ぎないこと、果ては、ガイソーグ自身がリュウソウジャーと戦う必然性が無いことから、淡々と物語が進んでしまい、最後は「隕石落ちたら時空乱れて帰れるよ」と。 さすがにやっつけ仕事感が強いです。
これでは、ヴァルマはただ力に溺れた哀れなおっさんですし、キシリュウジンはかませロボ、コウは力出し惜しみせずにヴァルマさっさと片付けて一緒にキシリュウジン乗って帰れよ!と思ってしまいます。ゴールドが女の子について物語から離脱するあたりは、「古代リュウソウ族がらみの話をする時間が無いからOPで退場させた」のではないかと思います。
ただ、ここまでストーリーについてさんざん批判してしまいましたが、理由は痛いほどわかります。明らかにジオウのために尺を短くしているからでしょう。劇場でお子さんが「リュウソウジャーはやかったね」というくらい尺が無いのが伝わってくるんです。きっと上で書いた批判なんて全部「言われなくてもわかってる」でしょう。尺が圧倒的に短い中で、ストーリーをここまですっきりまとめてきたのは称賛に値するのではないでしょうか。
また、映像やアクション面はとても力が入っており、迫力ある映像が表現できていたと感じます。
まとめると、やっぱり「尺が無い中、子供たちにアクションを楽しんでもらおう!」と努力した映画といえるのではないでしょうか。
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仮面ライダージオウ Over Quartzerの感想
さて、リュウソウジャーの夏映画の話はここまでとして、ジオウについていろいろ言いたいことが山積みです。面白くないとは全く思わないのですが、「え、そう来るの?」という感じ。
一回観た時点での私の感想は「やりたいこともわかる・意図もわかる・だが暴投変化球すぎていろいろ思うところがある」という感じです。
前半部が「ジオウと信長編」後半部が「クオーツァーとジオウ編」と分けることができると思うのですが、とくに後半部分でぶっこんで来たな、という感じです。
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気になる点
いろいろと気になることはありますが、冒頭の安土桃山時代パートはそれほど気になる点はありません。ジオウ安土桃山時代編といった感じで、CMではコミカルさが強調されまくっていた信長もクリムの祖先に惚れたからには、とコミカルさの中に男気が見えたり、その恋の結果惨敗しても鉄砲を手に入れたりと歴史改変ものとしては悪くなかったと思います。
ここで少し思うのは、客寄せとしてあれほど引っ張ったのにも関わらず「ドライブ編というよりは安土桃山時代編」なところ。ドライブ自体は登場せず、剛がドライブウォッチを授けちゃうんですよね。ここは少し残念に感じました。
前半はそのくらいで、軽快にいつものジオウといった感じでしたが、後半のクオーツァー編に思うところがあります。
クオーツァー編で私が個人的に気になるのは「御膳立てをしっかりしているのに最後が散らかっている」点についてです。
クオーツァー編では、TV本編から度々張られていた「常盤ソウゴがはたして最低最悪の魔王なのか」についての一つの答えが提示されます。
そこから物語はメタフィクション的な展開を用いて大きく転換し、ソウゴのアイデンティティを揺るがす形として絶望を経験し、そこから立ち直ってゆく。その過程は後述するようにとても良い形で描かれています。
ですが、ソウゴが紆余曲折を経てオーマフォームという絶望を打開する力を手に入れバールクスに立ち向かう戦闘シーンが、「ジオウvsバールクス」として強く描かれずに、どちらかというと「平成ライダーたちvsクオーツァー」という形で描写されました。ここが個人的にとても引っかかるのです。
確かに、クオーツァーは「平成」を否定したので、「平成ライダー」が出てきて立ち向かうことに問題はありません。ただ、本作は「ジオウ」の映画なのであって「平成ジェネレーション」ではありません。個人的には、「ジオウがバールクスを超えた」というシナリオ的な一段落が欲しいのです。常盤ソウゴとして歩んできた、王の道という物語を奪われた少年として決着をつけて欲しいのです。
今回の描写を見ていると「オーマフォーム発動→群発戦闘→なし崩し的にバールクス巨大化→平成ライダーたちの力でフィニッシュ」とソウゴの成長が正直霞んで見えてしまいました。その後の大技である「平成ライダーキック」も巨大バールクスを使って小渕恵三元官房長官の発表(時期的には菅義偉官房長官の令和発表がモチーフか)をパロディするというややおふざけ*1の要素が入ったものでした。ジオウ真の最終回とのあおり文に「常盤ソウゴの物語」を楽しみにしていた私はそのパロディに素直に乗ることができず、うーん。という感じでした。
また、大筋以外では、ザモナス・ゾンジス・バールクスの倒され方も少し納得がいきません。彼らはモチーフが「平成に放映されながらも平成ライダーと呼称されないライダーたち」です。ジオウ本編では、アナザーライダーにはそのライダーの力でという図式がありました。今回の彼らはアナザーライダーではありませんが、そのあたりの設定について少し説明が欲しかった。作中で彼らについて語られることは無く、なぜそのライダーの力を持っているのか等は明かされず、唐突な印象を受けました。また、倒されるときも特にそのライダーが現れて戦うでもなく、あっさりと力が通用してしまうのが少々納得がいきませんでした。
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良いと思う点
ここまで、結構文字数を割いて批判してしまいましたが、だからといって私はこの映画が「もう最低!見る価値無し!」なんて過激なことを思っているわけでは全然ありません。素晴らしいと思った点がいくつもありました。素晴らしいと思うところが多かったからこそ、ラストの散らかりが気になってしまった、という感じが正確でしょうか……。素晴らしいと思う点をいくつか紹介します。
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仮面ノリダーの登場
「生まれながらの王となる道」が偽物であると知らされ絶望の淵にいたソウゴを励ましたイメージが仮面ノリダーというのはとても練られていて強いこだわりを感じました。
まず、仮面ノリダーは仮面ライダーのパロディ企画でありTV局が違います。そんな「公式に否定された」ノリダーが、「王となる道を否定された少年」に「おまえは公式に、仮面ライダーに選ばれたのだろう!」と後押しするシーンは、なかば出オチのくせに物凄くアツい展開です。
物語的にも公式に選ばれるはずが無く、大人の事情からも選ばれることのない仮面ノリダーが、「選ばれた者の使命」を説くのは不思議な説得力がありました。ソウゴに勇気を与えてフッときえるノリダーは、不覚にもとても格好いいのです。そしてこの瞬間に「平成ライダー」を締めくくる作品に登場したことをもってノリダーは公式に認め(?)られたのです。ここはなかなかアツい名シーンでした。
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仮面ライダーGも忘れていない
仮面ライダーGはテレビ朝日の記念番組におけるオリジナルキャラクターでした。稲垣吾郎氏が変身するワインの戦士です。仮面ノリダーを認めた公式が仮面ライダーGを見捨てるわけもなく、きっちりと活躍していましたね。*2
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ウォズの冒頭あいさつからメタフィクション次元へつなげるうまさ
今作でウォズは、自身のトレードマークである逢魔光臨歴を破り捨て、ソウゴの真の配下となります。ウォズの第四の壁(視聴者)に対する語り掛けはTVシリーズから恒例のトレードマークですが、これがあったおかげで第四の壁を壮大にぶち壊す今回のメタフィクション的な作劇に違和感なくスムーズに移行できていたと思います。*3
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ウォズの心中が明確に描かれていること
ウォズはいままで「未来から来たトリックスター」として常にその真意が隠されてきたキャラクターでした。基本的にソウゴ(オーマジオウ)側の人間でしたが、この映画では「実はクォーツァーの一員であったこと」が明らかになり、しかし、ソウゴを王とを慕っているうちにソウゴにひかれていったのもまた事実であるという葛藤がきちんと描かれています。一度はゲイツ(忠臣)と戦いその心のうちを固め、名実ともにソウゴの臣下となったのはある意味感動的なシーンでした。これでソウゴ・ゲイツ・ウォズのトリオが完成したと思うと心がアツくなりましたね!
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アクションシーン全般特にバールクスのアクションシーン。
今回もとてもアクションシーンが良かったですね。その中でもバールクスのアクションシーンはISSAさんの演技も相まって素晴らしいです。ISSAさんも仮面ライダーファンということで楽しんで演技をされているのがありありと伝わってきます。「リボルケイン!」と叫ぶシーンなどはもう素で楽しんでいるのでは?と思えるほど違和感なく仕上がっていたと思います。 その他、ウォズとゲイツの決闘や、長篠の戦でゲイツとザモナスが兵とともに戦う*4ところなど見所抜群ですね。
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ソウゴの決意のシーン
先ほども触れましたが真の最終回として、「実は王になりたいというのも影武者にするために植え付けられていたに過ぎなかった」という衝撃の事実を突きつけられたソウゴがノリダーの後押しやゲイツやウォズの協力もあり、さらに最低最悪の魔王たるオーマジオウとも対話し「自分は人を救いたいから王になりたいと願ったのだ!」と気づきバールクスに立ち向かうシーンは素晴らしい。
番組開始当初は奇天烈に感じたソウゴもやっぱり仮面ライダーなんだな、と前述のノリダーのシーンも相まって強く感じましたね。
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まとめ
ここまでいろいろ書いてきましたが、本当に面白くないわけではないのです。
ただ、「ジオウ真の最終回」としてみたときに、今回の映画のアプローチがちょっと変化球すぎるなというのが率直な感想です。
やりたいことは分かるのです。
「平成」が終わったタイミングで「平成ライダー」の記念作として一本映画をやりたいのも分かります。平成ライダーを動員するのも、ジオウの話の特殊性を考えると十分に理解できます。令和の元号発表でこのタイミングで乗りたかったのも分かるのです。今を逃すと旬を逃すネタですから。
そういったやりたいこともろもろは分かるのですが、「ジオウの映画」としてあれほど完璧なお膳立てをしたのに、最後がコミカルになるのが残念でいろいろと不満が出てしまいました。
それでも、前述のとおり見所は十分ある映画です。TVシリーズのソウゴの物語はどのようにして完結するのかがより楽しみになりました。
*1:おふざけといえば、ブレンの「毒手www」がけっこう推されていましたね。仮面ライダーブレンは令和発のライダーでしたから、推されるのもわかります。ただ、こちらもおふざけ要素が強く、複雑な気分でした。でもブレンとしてはこれが正しいしなぁ……。
*2:ちょっとOVAか何かで見てみたいですよね。仮面ライダーG。ワインのライダーということで飲酒運転かっ!?というネタもあるし、大人向けハード作品でやって欲しい感があります。
*3:まぁ、劇場でちびっ子たちはあんまり分かってなさそうでしたが。でも、仮面ライダーって最初はアクションとかギミックにハマって、大人になってからストーリーの重厚さに気づいてハマるというのが定番なので、彼らの中から同志が現れて欲しいですね。
*4:地味にザモナスが騎馬戦してたりちょっと楽しい演出もありましたね